生駒市民にはあまり馴染みがなかったが、二条大路南1丁目にあるイトーヨーカドー奈良店の閉店が決まった。
2017年9月10日の営業を最後に、平成元年に開業したそごうから通算して30年の歴史に幕を閉じる。
小さな子供がいる家庭では、あるいはここの3Fに入居している赤ちゃん本舗を利用していた事があるかもしれないが、1F食品売り場も際立った特徴がなく、お店自体も住宅街というより観光や商業地のど真ん中にあったために、日用スーパーとしての競争は厳しかったようだ。
かつて5Fに入居していた食べ放題のビュッフェレストラン・モビーディックに家族で足繁く通っていたが、既に撤退して7~8年になるだろうか。跡地は今も板張りになっているなど、飲食店街はさながら廃墟のようになっていて寂しいフロアになっている。
今のイトーヨーカドー奈良店を象徴するかのようだったが、結局撤退を決断したようだ。
なお跡地には、今の店舗をそのまま再利用した新店舗が新たに入居し、複数のショッピング施設が入居する「奈良平城プラザ(仮称)」としてリニューアルが決まっている。
平成30年春の開業を目指し、日用品スーパーから観光客需要を取り込んだ店として生まれ変わる予定だ。
近くにはパーク&ライドの拠点もあるので、あるいはこちらの方が多くのお客さんを呼び込め、奈良観光の拠点として、生駒から新たに遊びに行ける商業施設になるかもしれない。
なお余談だが、イトーヨーカドー奈良店の入り口には「長屋王邸跡」という碑が設置されており、イトーヨーカドー奈良店を含む周辺一帯が奈良時代、長屋王の変で自殺した悲劇の皇子・長屋王の住居であったことを説明している。
長屋王は8世紀の奈良・平城京において実質的な政権を握った有力者で、水害や干ばつ・飢饉に苦しんだ民の窮状を見かねて税金や兵役の一部免除を施行するなど、仁政を敷いたことでも知られる。
また平城京時代に東北地方で相次いでいた蝦夷の反乱を鎮圧するなど、文武に活躍した為政者だった。
その長屋王だったが、歴史の教科書でおなじみの大宝律令を制定した藤原不比等の息子・いわゆる藤原4兄弟と政治的に対立を深め、讒言を繰り返された後の729年3月16日に自殺に追い込まれた。
その結果、藤原4兄弟が平城京の実質的な支配権を握るに至るが、その藤原4兄弟は程なくして全員、天然痘で早逝することになる。
また、藤原4兄弟の指示で実質的な政治工作を行っていた中臣宮処東人(なかとみのみやこのあずまびと)も、後に長屋王の腹心に惨殺されるなど、非業の死を遂げている。
そのことから、これら権力者の死は長屋王の祟りではないかと当時、都では騒ぎになったようだが、その長屋王の邸宅跡に建てられたイトーヨーカドーが今回撤退することになった。
そごうが上手く行かずイトーヨーカドーに衣替えしても成功したとは言えない状況での撤退。
新しい施設を開く前に、長屋王の御霊を鎮め、今一度盛大にお祀りした方が良いのかもしれない・・・。
【閉店時データ】
店名:イトーヨーカドー奈良店
所在地:奈良市二条大路南1-3-1
定休日:無し
TEL:0742-36-7111
営業時間 :9:00~21:00
駐車場:1300台