生駒市の生駒聖天宝山寺門前にある、門前おかげ楼である。
おかげ楼は宿泊施設であり、イベント会場などを提供するレンタルスペースであり、そしてその食事処としての六根亭を経営する複合施設だ。
古くは生駒聖天への参拝客で賑わった参道の中でも、一番の目立つ場所にある料理旅館として名を馳せた建物がベースになっている。
なお周囲は、すでに廃業してしまった旅館も目立つ。
そのせいもあるのだろう。
生き残っている旅館の多くは、実は「大人の遊び」が出来ることでも密かに知られているところがある。
おかげ楼はもちろんそういった旅館ではないが、そういった旅館は入り口に風俗営業許可証を貼っているので、注意して目を凝らすと、この参道の、今の現実が見えるだろう。
昔ながらの「置屋」と呼ばれる手配師がいるところも、どこか昭和の面影を残す。
宿泊施設併設の食事処なので、中はとてもきれいだ。
行き届いた清掃に心地よいオブジェなどが気持ちいい。
なお、食べログには「景色が良い」として紹介されているが、無茶である。
隣の建物が食事スペースの窓を全部塞いでおり、かろうじて建物の隙間から外を頑張って見ようとして、この景色を見るのが精一杯だ。
席からの眺めではない。
窓際に行き、建物の隙間からカメラを外に向けて見える画像である。
遠くに第2阪奈が見えるが、この景色を借景できないのは惜しいことだ。
価格設定・内容はとてもオーソドックス。
しかし、ここは十割そばが売りである。
注文を受けてから切るこだわりようで、頂けるのにしばし時間がかかることは覚悟しなければならない。
本物の十割そばだ。
そう言えば後から入ってきたオバサマたちが、
「盛り700円 かけ700円やって~」
「モリカケといえば、モリカケ問題、許せへんわ」
「そうやな、安倍さんが首相のうちはあかんね」
「わたしは小泉孝太郎にならんと自民に入れへんわ!」
「そうやな、孝太郎イケメンやし、ドラマにもよく出てるしな」
「そうそう!」
・・・
おばさんたちが自民党に投票する日は永遠に来なさそうである。
それにしても、お互いの会話を全く聞いていないおばさんたちの特性を思い知らされるようであった。
上がざるそば700円に、季節限定の大和肉鶏サラダ400円を追加したもの。
下が天ざるそばである。
結論から言うと、美味い!
まず蕎麦だが、蕎麦の良い香りがすごく、何よりも十割そばなのに歯ごたえがよく、なおかつ喉越しが良い。
私は余り上品な人間ではないので、そばを頂く時もたっぷりと出汁につけて頂く。
ちょっとだけ出汁につけるのが蕎麦の礼儀と説く人もいるが、正直たっぷりの出汁につけないと蕎麦を美味しいと思えることはほとんどない。
これは奈良県下の、ミシュランに掲載された幾つかのそば店で頂いた時も同様だった。
しかし六根亭の蕎麦は本当に出汁に、チョコンと漬けるだけで美味い。
最後の方には、私は出汁に漬けず蕎麦だけをそのまま頂いていたほどである。
この蕎麦は美味い。
大和肉鶏も、本物だ。
名前だけのいい加減なものではなく、歯ごたえ、溢れる濃い旨味、丁寧に育てられた良い香りがするお肉と、完璧な仕事である。
天ぷらも、美味しく揚がったエビに季節感のある野菜がふんだんに添えられており、とても美味しくいただけた。
惜しむらくは、揚げ物にたけのこがあったことだろうか。
訪問日は晩秋の季節だが、明らかにたけのこは旬ではない。
ということは、凍菜か凍菜かつ輸入物である。
銀杏やナスなど、季節感のある美味しい野菜を盛り込んでいながら、思いっきり蛇足である。
最後の蕎麦湯も完食してしまった。
やはり十割そばの蕎麦湯は、蕎麦よりも美味い。
蕎麦もうまいだけに、蕎麦湯の旨さは格別だった。
平日には全くひと気がない宝山寺の門前で営業せずに、奈良の観光地で営業すれば確実に有名店になるだろう。
とはいえ、宝山寺に育てられた門前店であり、それでは価値が無いということなのだろうか。
なお駐車場だが、生駒駅からそのまま山を登りしばらく行くと、「観光生駒」と書かれた大きなゲートが見えてくる。
そのゲートの脇が、宝山寺関連の観光客が使える無料駐車場だ。
十分な広さがある。
その駐車場から、徒歩3分である。
車で出掛けても便利な場所なので、電車でも車でも、どちらで出掛けても良いだろう。
大事なゲストをランチにお連れしても、ハズレとされることは無いであろうよい店だ。
ぜひ地元生駒市民にも、もっとその存在を知ってほしい名店である。
【店舗データ】
店名:六根亭
所在地:生駒市門前町16-3
定休日:月曜日
TEL:0743-25-4083
営業時間 :11:00~17:00
駐車場:本文参照
子供連れ:OK
Webサイト:店舗公式サイト