蕎麦屋きみなみ|奈良・押熊

ミシュランガイド2017で、菖蒲池の「彦兵衛」とともに蕎麦屋でビブグルマンに選ばれたきみなみ。

お店はならやま大通り沿いにあり、道路事情もよく場所もわかりやすい。

お店には、ならやま大通りを東から西に向かう方向でしか入れない。

奈良から生駒に向かう方向に走り左手側だ。

駐車場は、お店の西側2台分のスペースしか無いように見えるが、実はお店の東側、画像の手前側にある「りらく押熊店」の広い駐車場も共用で使える。

上の写真の場所から左折して車を駐め、10mほど歩いたほうが圧倒的に駐車しやすい。

店横の駐車スペースは狭く入れにくいので、こちらに駐めたほうが良いだろう。

ビブグルマンに選ばれた蕎麦屋だが、お店の規模は小さく、平日昼間には静謐なお蕎麦屋さんらしい上品な空気が流れる。

6人掛けのテーブルが1つ、4人掛けのテーブルが3つ、三人掛けのカウンターが一つだ。

メニューはシンプルに蕎麦を味わい、それに少し蕎麦前の肴を頂くほどであり、海老天そばなど蕎麦屋さん定番のメニューはない。

前日予約をすればコースが頂けるが、ここは素直に田舎そば(玄蕎麦)とせいろそば(丸抜き挽き:玄そばの皮をとったもの)、それに鶏そぼろご飯を頂くことにした。

それにしても、きみなみ特選酒は銘柄を伏せてお出しします、という辺りに昔ながらの蕎麦屋の文化を感じる。

本来であれば特選酒を頂きながら蕎麦前を楽しむのが礼儀なのかもしれないが、車なのが辛いところだ。

上が田舎そばで下がせいろそばだ。

玄蕎麦らしく皮ごと挽いた蕎麦はいかにも蕎麦らしい色合いと風味がある。

一方でせいろそばは、美しい緑がかった蕎麦が、選りすぐりのそばの実を丁寧に挽いたものであることがよくわかる風合いだ。

こちらのお店は、打つのが難しいとされる十割そば。

十割蕎麦は一般に、二八蕎麦や九一蕎麦と異なり小麦粉を一切混ぜないので、切れやすく滑らかさに欠けるとされている。

それぞれ薬味にはわさびとネギがつくが、辛味大根の薬味も注文。

田舎そばを頂くと、挽きぐるみの蕎麦は強烈な蕎麦の存在感が口の中に広がり、蕎麦の味と香りが一気に自己主張する。

舌触りはややざらつくものの、同じビブグルマンの「彦兵衛」ほど粗野ではない。

彦兵衛は粗野を売りにしているので、敢えてそのように打っているのだが、きみなみの玄そばは優しい味わいだ。

しかも、十割蕎麦と思えないほどにコシがしっかりとしており、細打ちでシャッキリとしている。

つゆは甘味も辛さも控えめだが、鰹出汁の味がしっかりと効いている。蕎麦も出汁もとても優しい味わいなのだが、しかし力強い自己主張をする。

これは旨い。

一転して、せいろそばはとても上品で滑らかだ。

しかしこちらも、十割蕎麦とは思えないほどにコシがしっかりしており、細打ちで、上品なつゆと上品な蕎麦の組み合わせのシャッキリした食感が嬉しい。

蕎麦とはこういう食べ物であることを、改めて教わった気がする。

こちらも本当に旨い。

いつものことだが、よくできた蕎麦屋のそばつゆはやはり旨い。

きみなみの蕎麦はこれだけ美味いのに、やはり食後に頂く蕎麦湯のほうが蕎麦の味と香りが濃厚だ。

十割蕎麦だけに、蕎麦湯も格別にうまく、蕎麦よりも蕎麦を味わいつくさせてくれる。

手打ちの十割蕎麦だけに、一日に用意できる量は限られているとのことなので、訪問する際には電話で予約を取ったほうが良いだろう。

これだけの蕎麦が、ざる1枚900円というのだから、ビブグルマンに選ばれるのは当然といったところか。

ぜひ、遠方からでも足を運んで欲しい美味い蕎麦屋だった。

【店舗データ】

店名:蕎麦屋きみなみ      

所在地:奈良市押熊町2201-1   

定休日:水曜夜の部・木曜日   

TEL:0742-46-5503        

営業時間 :11:30~14:30 17:30~20:30 

駐車場:店横2台他(本文参照)  

子供連れ:OK          

Webサイト:http://kiminami.net/  

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