ミシュランガイド2017年版に奈良市のうどん屋さんで唯一、ビブグルマンに選出された喜楽庵。
調査員お勧めのお店では高畑町の「うどん たつや」や東向商店街の「釜粋」も掲載されたが、うどん店でありながら「コスパがいい」ビブグルマンに選ばれたということで、楽しみに訪問した。
近くにはそば店でビブグルマンに選ばれた蕎麦切り彦衛門もあり、あやめ池周辺もグルメタウン化してきたのだろうか。
凛とした佇まいに、ランチで無ければ敷居の高さを感じてしまうところだが、入り口にはお品書きがあり、街のうどん屋さん価格であることを教えてくれる。
しかし、外観は料亭のようであり、この雰囲気で美味しいうどんを頂ける事も含めてごちそうだ。
美味しいものが食べられる予感しかしない。
お店には駐車場がないが、30mほど離れたすぐの場所にコインパーキングの駐車場がある。
1時間300円ほどだ。画面奥右手に見える「P」がそれだが、駐車台数も十分にあるので、こちらを利用すると良いだろう。
近鉄菖蒲池駅から歩いても5分もかからない距離なので、駅前駐車場の方がわかりやすいという人はそちらでも良いかもしれない。
駅前にあるハーベスで買い物したら駐車場代も優遇されるので。そんな使い方もありだろう。
メニューは700円からで、高いものでも1600円。
天ざるは1200円と非常にコスパがいい。
店主のお勧めはしょうゆうどん700円のようだ。
美味しく打たれたうどんを生醤油と少量のしょうがだけで頂く食べ方は確かに魅力だが、釜揚げと天ざるでいろいろな味を頂いてみることにした。
店内はカウンター8席と4人掛けの個室のようなスペースのみで、土日祝日はかなり混み合う。
注文を受けてから生の麺を茹でるので、茹で上がりにも時間がかかり、客の回転は決して早いとはいえないので、余り時間がない時はピーク時を外して訪問した方がいいだろう。
なお同席させて頂いたとても上品な老夫婦の方が、たまたま大阪の有名老舗店の14代目の方だったが、常連のようで、ご夫婦でシンプルにしょうゆうどんを召し上がっていた。
本職にも繰り返し足を運ばせる力があるのかと、次は間違いなくしょうゆうどんを注文してみたい。
上から天ぷら釜揚げ、天ざるうどん、天ぷらぶっかけうどんだ。
つやつやで美しいうどんは、見ているだけで食欲を刺激する。
出汁は北海道・礼文島の最高級利尻こんぶと枕崎産の鰹節を贅沢に使い、鯖節とうるめ節も加えているそうだ。
良い素材を選び抜き、正々堂々と丁寧に打つ手打ちうどん。
厨房の横にある麺打ち場で、その日の朝こねてその日のうちに使う分だけを麺切りする。
上品そうなとても愛想の良いご主人だが、麺打ちの姿は一点、真剣勝負の面持ちだ。
麺はよくある讃岐うどんに比べ細めに打たれており、コシを感じさせながらも必要以上に押し返してこない食感。
麺を太く打ち、凄い食感で歯を押し返してくる「たつや」のうどんもまた讃岐らしいうどんだが、喜楽庵はどちらかと言うと、優しそうなご主人のお人柄がそのままうどんに現れているような、上品で、それでいて強いコシを感じさせるとてもバランスの良い麺になっている。
つやつやした美しい麺につるっとした食感、のどごしの良い麺の後味に広がる小麦のよい香り。
全てにおいて完成度が非常に高いうどんで、うどんの美味さを心から堪能できる。
なお天ざるうどんと天ぷらぶっかけうどんだが、値段は同じになっているが、うどんに乗る具がぶっかけのほうがだいぶ多い。
天ざるは天ぷらのみだが、ぶっかけの方には天ざると同じだけの天ぷらが乗り、その上できゅうりや紅しょうが、わかめ、にんじん、コーン、花かつおなどが贅沢に添えられてくる。
うどんの麺の旨さと天ぷらの美味さを別に味わうなら天ざるだが、具の多さとお得感でいうならぶっかけうどんだろう。
釜揚げは、小麦の美味さと丁寧に取られた出汁の旨さをシンプルかつダイレクトに味わいたい人にお勧めだ。
菖蒲池の住宅街に突然あらわれる、穴場的なうどん店。
わざわざ足を運んででも頂く価値のある、とても良いお店だった。
【店舗データ】
店名:喜樂庵
所在地:奈良市あやめ池南6-1-9
定休日:月・火曜日
TEL:0742-45-6788
営業時間 :11:30~14:30(土日は17:30~20:00も営業)
駐車場:無し(本文参照)
子供連れ:OK
Webサイト:-