ビストロ ル・ノール |奈良生駒駅・新生駒台

ミシュランガイド2017年版で調査員推奨の店に選ばれた、ランチも楽しめるフレンチのビストロ、ル・ノール(BISTROT LE NORD)だ。

駐車場の場所や行き方がわかりにくいようだが、実際に訪問すれば特段の不便もない便利な場所にお店はある。

生駒市が誇る名店で楽しみなランチだ。

この場所は以前、富雄の有名ラーメン店「麺屋あまのじゃく」の暖簾分けのお店があった店舗で、そのお店を居抜きで入居されたのがおそらく4年ほど前だろうか(2017年5月現在)。

たまたま正面にあるネッツトヨタがお世話になっているディーラーだったので、ネッツに行くたびに

「向かいのお店、美味しくて評判ですよ」と言われ続けていたのだが、ネッツ社員さんの目利きは確かだったようだ。

なお、なぜか食べログでは、最寄り駅が近鉄白庭台駅となっているがデタラメである。

地図上の直線距離では最短かも知れないが、地形の起伏や実際に移動する道路の距離を無視している上に、路線バスも走っておらず歩ける距離ではないので注意して欲しい。

評点も3.07と食べログらしいデタラメな数字になっているが(ともに2017年5月現在)、余計なお世話かも知れないが人のお店のことながら腹立たしい思いがする。

食べログの情報は余りにもデタラメが多く、真摯に仕事に取り組んでいる料理人とそのお店を冒涜するかのような記事、無責任な採点が為されるサイト運営には疑問を禁じ得ない。

広告を出しているお店は評点が高くなり、出さないお店は評点が低くなる(という噂もある)という「真摯的と言えないグルメサイト」はなるべく早く駆逐されてしまえと心から願う。

そんな思いを感じながら、ビストロ ル・ノールさんを紹介してみたい。

こちらのお店、オーナーシェフはフランスのミシュラン一つ星店で修業を重ね、日本に帰国後は大阪のヒルトンなどでフレンチの修行を積んだ本格派の北田浩久シェフ。

お店はわずか10席の小規模なビストロで、お一人で切り盛りされている。

忙しい時にはソムリエ資格を持つ奥様が応援に来てくれるそうだが、他店で勤務をしているためだいたい一人で店を回しているとのことだった。

なおお店の最寄り駅は普通に考えれば近鉄生駒駅だが、駅からは下る方向の道とはいえ、こちらからも徒歩で行くのは困難な距離だ。

公共交通機関で行くとすれば、生駒駅から「生駒台循環」行きのバスに乗り、新生駒台北口で下車すれば徒歩3分だが、正直車で行ったほうが良いだろう。

健脚に自身があれば15分ほどで歩ける距離だが、運動不足であれば無理しないことをお勧めしたい。

店舗は小さなフレンチビストロなので席数はカウンター10席のみ。

そのため、駐車場も3台分しか無いが、予約を取ってから訪問すればおそらく車を駐める場所に困ることはないだろう。

駐車場は、お店から20mほど北にあるディスカウントスーパージャパンの裏側、画像でいうとお店に向かって右側のところからお店の裏に回ったところにある。

お店の裏側に回ると一番奥、画像の青く「P」と掲示されているところ3台分が、ル・ノールの駐車場だ。

ここからお店までは徒歩2分程の距離になっている。

この日は運良く当日予約でランチを頂くことができたが、できれば数日前までに予約をしたほうが確実かもしれない。

ランチのコースは3種類だが、当日予約であれば実質2種類だけになる。

リヨンかルノール。

メインディッシュが1種類のリヨンか、フィッシュとミートのどちらも頂けてフルコース形式を楽しめるルノールだが、やはりルノールをリクエストするお客さんが多いようだ。

迷わずルノールを注文した。

メインディッシュはこの日、魚料理は鯛のポワレが固定。

ミートは4種類から選ぶことになる。

追加料金が必要ない上に、北田シェフいわく「フレンチのソースでもっとも手間暇がかかるソース」というデミグラスソースで頂くチキンも選びたいところだったが、ジビエ料理のイノシシなどはなかなか頂けるものではなく、可能な限り地産地消にこだわるシェフの方針に賛同して大和牛も外したくないところだ。

結局ミートは猪ロース肉のグリエと大和牛イチボのグリエを頂くことにした。

お昼からワインも頂きたい気分だが、車なのでじっと我慢の子である。

この日の前菜はシーフード仕立てのサラダ。

メインは鰆と、1ヶ月間熟成させた自家製のサラミ。

奈良県・曽爾高原産のサラノバレタスがシャキシャキして美味い。

プチトマトは酸味が全くない、甘味にあふれるフルーツトマト。

赤い薄切りは、口に入れると一気に土のよい香りが広がり、次に不思議な甘味が追いかけてくる。

一体何の野菜なのかと聞いてみれば、ロシアのスープ料理「ボルシチ」によく入っているあのビーツとのことだった。

生のサラダとして頂くのは初めてだが、独特の野趣と旨味があり、初めての味にテンションがあがる。

スープは麦のポン菓子を浮かべたグルーンピースのポタージュ。

自家製朝焼きのライ麦パンと一緒に頂く。

スープはその日の仕入れと季節感を考えて、毎日変えているとのことだった。

その季節、その日に最良の食材を選ぶので、スープの頂き方もメインディッシュのソースも、今日の食材にはどのような併せ方をすれば持ち味を引き出せるかを考えてアレンジしているそうだ。

夕飯の献立を考えるのが大変、というレベルではない。

ポタージュスープは、グルーンピースってこんなに甘くて美味しい食べ物だっただろうかと、食材のもつ魅力が最大限に引き出された味になっている。

青臭さもなく、スープはどこまでも滑らかで、いくらでもスルスル頂ける。

自家製ライ麦パンも凄い。

手で割ると中からふわっと立ち上る蒸気は香ばしいライ麦の旨さに溢れており、焼き立てパンの香りは食欲をそそる最高のアピタイザーであることを思い知らされる。

カリッとした表面にふわっとした食感も、期待を裏切らない。

こちらはフィッシュ料理の和歌山産天然真鯛のポワレサフランクリームソースで塩レモンピューレ添え。

天然の真鯛なので養殖物に比べ余計な脂が乗っておらず、身が締まっており旨味が強い。

天然鯛らしく、身を頂くと磯の香りが感じられるが、塩レモンのピューレが凄い。

サフランクリームソースだけで頂くと野趣を感じさせる天然真鯛の味が立ち、塩レモンピューレと一緒に頂くと「爽やか」としか表現しようのない、まるで別物の味の組み立てになる。

一皿で2種類の鯛の魅力を引き出している、シェフのセンスを感じる一品だ。

上が猪ロース肉のグリエでタスマニア産マスタード添え。

下が奈良県産A5ランク大和牛イチボのグリエでボルドレーズソースを掛けて頂く一皿。

猪はもちろんジビエ料理で、岡山の契約猟師に届けてもらっている。

体重20kg、2歳までのメスを指定しているそうだが、牛と一緒で一番肉が美味いのは出産経験のないメス肉と言うことなのだろうか。

ジビエの猪であるにも関わらず臭みが一切なく、野趣すら感じさせない上品な一皿であることに意表を突かれる。

肉はかなり噛みごたえがあり食いでがあるが、その分噛めば噛むほど旨味がいくらでも溢れてくる。

ちょっと他の獣肉料理ではこの味を比較するものがない。メインディッシュに選んで大正解の一皿だ。

大和牛のグリエは、A5ランクというとすぐに想像される脂ギトギトの胃もたれするような肉と思われるかもしれないが、イチボなので全くそのようなことはない。

イチボは牛のお尻の部分の肉で、ランプと呼ばれるステーキで頂く高級な部位の下の部分、赤身肉の中でも特に柔らかい部分を切り出した、旨味と柔らかさを兼ね備えた赤身の希少部位だ。

A5ランクなので赤身にもうっすらサシが入っているのだろう、口に含むと甘い脂が口いっぱいに広がる。

うまい肉は塩コショウでシンプルに食べるのが一番美味い食べ方だと絶対の自信を持っているが、ボルドレースソースで頂くとまた違った和牛の魅力があるのだと、自分の味覚の狭さを思い知らされた。

なお、どちらのお肉にも乗っているハーブ類は全て自家製だ。

盛り付ける直前にハサミを持って厨房を外されたかと思うと、たっぷりのハーブを手に持って戻ってこられた。

カウンターはオープンキッチンになっており、フレンチシェフの料理の舞台裏を全て見ることができるのも、この店の最大の楽しさであり魅力の一つといえるだろう。

余談だが、かつて北田シェフ、岡山の契約農家さんから「90kgを超える猪を仕留めたからお届けします!」と、連絡を頂いたことがあるそうだ。

そんな大物は店で使えないから絶対に持ってこないでくれとお断りし、相手も「そうですか、わかりました」と言って電話を切ったそうだが、その3時間後に軽トラックの荷台に猪を載せ、お店に来てしまった事があると、楽しそうに話してくれた。

「私を喜ばせようと持ってきてくれたんだろうと、その気持を考えると断りきれなかった」

ということで、お店の前で90kgの巨大イノシシを、吊るす器械も無いままに悪戦苦闘しながら解体したそうだが、その壮大な「解体ショー」に近所の小学生たちが集まりだし、ちょっとした騒ぎになってしまったと、笑顔でお話になっていた。

契約農家さんが「喜ばせようと」サプライズで食材を持ち込むのは場合によってはなかなかキツかったと思うが、北田シェフにはそのような、周囲を惹き付ける何とも言えない魅力がある。

デザートは奈良県・月ヶ瀬村の契約農家から分けて頂いたほうじ茶で作ったブラマンジェ(ブラン・マンジェ)、ナタデココ添え。

ほうじ茶の良い香りがふわっと広がるブラマンジェは、ヘビーなランチの締めにホッとできる最高のセレクトだ。

味や美しさ、シェフの心遣いまでも全てが凝縮されている、締めにふさわしい一品をいただき、エスプレッソで生チョコを頂きながら北田シェフの世界を最後まで堪能させてもらった。

これだけの食材を使い、手間暇をかけた料理が3800円(税込)で頂けるのだからコスパはかなり良い。

ビブグルマン(コスパの良いお店)であってもよさそうな気がするが、調査員がお店に来た時のことをお聞きしてみると、

「全く身分を明かさず、会計が終わった後に初めてミシュラン調査員であることを教えてくれた」そうで、

「2017年版の掲載候補に入れたいので写真を送って欲しい」と依頼されたそうだ。

そこでお店に備え付けてあったミシュランガイドを見ると、北田シェフのページにはお肉のように見えるメインディッシュに桜の花のような飾り付けで、料理が余りよく見えないような写真が掲載されていた。

北田シェフの料理の魅力は、厳選した素材の味をシンプルに引き出すことにあるような気がするので、ここは焼きたてのライ麦パンを手で2つに裂き、美味そうな蒸気が立っているような、シンプルな画像を送っても良かったのではないだろうか。

ミシュランに掲載されている写真は、北田シェフの世界観を反映していないような一皿に見えた。

2017年版のミシュラン、特に「調査員お勧めの店」はどうも、不満足な店も中にはある。

私がよく知る寿司店も選ばれていたが、その店では、TシャツにGパンの外着で板場に立ち、客の前でお弟子さんに、

「おい、○○を仕入れ忘れたから近くの××(スーパーの名前)で買ってこい」

と無神経な指示を出すような板前がオーナーをしている。

お勧めのネタを聞いても、「マグロ」などのように一言、愛想のない答えを返してくる店主の店に3度ほど行き、3度とも不快な思いしかしなかったので足が遠のいていたのだが、あれから人格が入れ替わるくらい、良くなったのだろうか。

なんにせよ、そのお店とル・ノールが同格とはとても思えない。

北田シェフとル・ノールがミシュランに掲載されるべき素晴らしいお店であるだけに、掲載するお店の品格にはもう少し、確実な調査をした上で選出して欲しいと心から願う。

【店舗データ】

店名:ビストロ  ル・ノール  

所在地:生駒市松美台33-2  

定休日:水曜日       

TEL:0743-75-9555      

営業時間 :11:00~15:00 18:00~22:00  

駐車場:近隣に3台     

子供連れ:OK       

※小さなビストロなので、注文しない子供のイス使用は自粛を心掛けたい

Webサイト:ル・ノール公式サイト 

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク