正式名は金剛山寺だが、あじさいで有名な通称矢田寺。
2017年は6月1日からあじさい園の開園が始まる。
60種類10,000株の壮大なあじさいの共演は関西最大規模で、毎年この期間は多くの参拝客で賑わう。
万博記念公園で開催されるあじさい祭が30種類4000株で多くの人を魅了している規模であることを考えれば、矢田寺のあじさい園がどれほどのものか、想像がつくのではないだろうか。
矢田寺は、大和の国の多くのお寺がそうであるように、1000年以上の歴史を持ち、その創建は679年というから実に奈良時代(710年の平城遷都以降の時代)より前の、飛鳥時代(奈良県飛鳥地方に都があった時代を指す)ということになる。
本尊のお地蔵様にちなみ、昭和40年代から境内に少しづつあじさいを植栽し始めたのが始まりということなので、あじさい寺としての歴史もすでに半世紀に近い。
なお、意外なようだがあじさいは日本原産で、野生種のものは日本にしか存在しない。
西洋で観賞用に楽しまれている西洋アジサイは江戸時代後期に長崎の出島に滞在したドイツ人医師・シーボルトなどが日本から持ち出し、欧州で品種改良されたものだ。
あじさいは古くから俳句や和歌の中に歌われ、もっとも古い記述は万葉集(759年編纂)に見られる。
当時はまだ日本原種のガクアジサイのみが存在しており、現在のような可憐なあじさいの姿を歌ったものではないようだが、鮮やかに色を変え様々な顔を見せるあじさいをして、その美しさではなく様々な手段を使う政敵に例えて詠まれた。
言問わぬ木すら紫陽花諸弟等が
練の村戸にあざむかえけり
(話をしない木ですら、あじさいのように色を変える。まるで練達に長けた諸弟のいうことのように、私は簡単に騙された)
奈良時代の歌人・大伴家持によって詠まれた句だが、どうやらこの時代にあってあじさいは、美しく愛でる花というよりも、艶やかに色を変え定まらない、捉えがたい存在の象徴として見られていたようだ。
そんな天平時代の価値観も心に入れながらあじさいを眺めてみると、紫陽花のまた違った側面が見えてくるかもしれない。
【イベントデータ】
名称:矢田寺あじさい園 開園
開催場所:矢田寺
所在地:大和郡山市矢田町3549
年月日:2017年6月1日(木)~7月1日(月)
開催時間:9:30~16:30
問合せ先:0743-53-1445(矢田寺)
料金:大人500円 小学生250円
駐車場:近隣駐車場あり(500円~)
目安所要時間:30分
Web:矢田寺公式Webサイト
※所要時間の目安は生駒駅から普通乗用車を使った際の最短時間
※写真は全てイメージ