近鉄生駒駅の近く、安くて美味しいお寿司をランチで頂ける隠れ家的な寿司屋さんがある。
和食・寿司の店、美幸だ。
ぴっくり通りの南端、焼鳥一調の前の道を西に少し行ったところで、このお店を目指して歩かないとその存在に気がつけないような裏路地にある。
生駒市で寿司屋と言えば、寿司屋忠兵衛やみよし寿司、誠寿司を思い浮かべる人も多いかもしれないが、こちらのお店は外観もご覧の通り、いかにも昭和の寿司屋というノスタルジックさを感じさせてくれて、テンションが上がる。
小ぎれいに設えられたチェーン店よりも、よっぽど旨いものを食べさせてくれる期待が高まる。
お店に入るといきなりカウンター。他に4人掛けのテーブルが1つある。2階は座席になっているようで、20人ほど入れるようだ。
カウンター席は、いい意味で狭い。握り寿司を頂く時には板前との距離感が近いほど楽しい。
板前寿司屋は板前が無愛想で話しづらいと最悪だが、アニメの宮﨑駿監督が少しダイエットしたらソックリだろう、いつも笑顔の気持ちのいい大将が迎えてくれた。
目の前で握り、目の前で出してくれる握り寿司は板前の間の作り方でも味わいが大きく変わるものだが、このお店はアタリだったと確信できる。
なおメニューは壁に貼っていたり立てかけてあったりするが、ほとんどのものは板前寿司では恐怖の「値段表記なし」だ。
とりあえずランチセットは和定食980円、寿司定食880円、うどん定食600円というメニュー構成になっているので寿司定食880円を頂くことにした。
和定食はかなり早い時間に売り切れてしまうようだ。
うどん定食はうどんにちょっとした巻物か握りのお寿司が季節替りで付くとのことだった。
寿司定食は、自家製豆腐と季節の握り8貫、それにお吸い物が付く。
880円という良心的な値段にしてはかなり豪華だ。
自家製豆腐はとても甘くて大豆の濃厚な味わいがしっかり感じられる。スーパーで売っている、大豆の味も香りもしない白いカタマリとは全く違う、昔ながらの美味しい豆腐だ。
醤油をつけてどうぞ、とのことだったが、醤油無しで頂いても十分に美味い。
握りは小ぶりのシャリに大ぶりの切り身。
口の中でほろっとほぐれるシャリの具合が心地よい。
ホタルイカはひと仕事してあるのだろうか、固く舌に触る不快な部位は完全にキレイにしてあり、ホタルイカの甘味と柔らかさしか感じない。
これほど上品な味わいでホタルイカを食べたのは初めてだ。
旬を過ぎた鯛も、産地を選んでいるのだろう。旬の時期の鯛を感じさせる濃厚な白身の旨さが口の中に広がる。
十分満足できる量だったが、ショーケースの中の美味そうなネタに気を取られてしまった。
美味しい寿司だったので、他にも大将の寿司を頂きたいと思いお好み握りをお願いすると快く引き受けてくれる。
みるとこの時期から美味いハモが丁寧に骨切りされて並んでいるので、注文しない訳にはいかない。
生はもを軽く焼き霜にしたものに梅肉とわさびだ。
表面は香ばしく焼き上げられているのに身はミディアムレアの状態。これ以上火を通すとパサつくが、ここまで焼かないとハモの旨味が感じられない絶妙の炙り加減になっている。
うなぎはトロットロにとろける、握り寿司で一番美味い塩梅に仕上がっている。
たまにうなぎ専門店でも、皮がゴムみたいに固いうなぎを出すところもあるが、そういったクオリティとは縁のない、しっかり仕事がされているうまいうなぎだ。
鯛は一般に5月は季節外れとされているが、リピートしたくなる旨さだったので注文してしまった。
2度目もやはり美味い。
恐怖の値札無し板前寿司でいろいろ頼んでしまったが、お会計は寿司定食880円2人前を入れて3700円。
お好み握りは1900円余りという計算になるが、ハモ、サーモン、鯛、鰻をそれぞれ2貫頂いたので、1貫平均で言うと250円にもならない計算だ。
丁寧に仕事をする板前寿司としてはかなり良心的な値段と言えるだろう。
こちらは夜のメニューだが、やはり全体的にリーズナブルな値段設定になっている。
海鮮居酒屋として使えば、かなり楽しめそうだ。
「季節によって仕入れは変わりますので写真は参考です。次にいらした時はカツオも食べて下さい。ワラで焼くので美味いですよ」
と帰り際に声を掛けてくれたが、また来たくなる自然でさりげない一言が心地よい。
街に根付いた、地元の人が多く立ち寄る店のようだが、このあたりで飲むことも多いのでリピートのお店に入れておこうと思える良い店だった。
次は夜の食事を楽しみに訪問したい。
【店舗データ】
店名:和食・寿司 美幸
所在地:生駒市本町9-15
定休日:不定休
TEL:0743-75-3040
営業時間 :11:30~14:00 16:30~22:30
駐車場:無し(生駒市営南駐車場徒歩3分)
子供連れ:OK
Webサイト:-