同じとんこつラーメンの「しぇからしか西大和店」に変わっています。
味も立地も悪くなかったのですが、ライト豚骨だったので、お店の名前と味がアンバランスだったのかも知れません。
(2018年3月26日)
奈良でランチに豚骨ラーメンを食べたい場合、地元人がお勧めするのは大和郡山にあるひで常。
若い人なら木津川市にある無鉄砲。
癖のない万人受けする味が好きな人なら夢街道を支持する人が多い。
いずれも奈良で豚骨ラーメン、長浜ラーメンの名店として愛されている店だ。
そんな中、2014年9月にオープンしてまだ2年半ほどの新興勢力がこの「ド豚骨らーめん くわせ者」。
道路を挟んで西大和学園の向かい側にあり、幹線道路沿いの目立つ場所にある。
駐車場は広く15台あるが店が新しく古いナビではまずピンポイントで場所を教えてくれない。
そのような時の行き方は、ナビに西大和学園を入力するか、西和警察署を入力してそのまま道路沿いを進むしか無いだろう。
ド豚骨らーめん、塩とんこつラーメン、あっさりラーメンそれぞれ730円で、奈良の相場で考えると高くも安くもないところを狙ってきた印象。
麺の硬さは3種類から選ぶあたりが博多長浜ラーメンを意識した構成になっている。
セットメニューは平日は1000円以下と割安だが、土日祝は1000円を越えてくるのでやや贅沢メニューといったところか。
見た目にはほとんどわかりにくいが、上がドとんこつラーメンでその奥にあるのが塩とんこつラーメン、下があっさりラーメンだ。
ドとんこつラーメンはベースになる豚骨スープに濃厚な醤油ダレで味を組み立てている。
塩とんこつはそのまま塩ダレで味を組み立てているが、魚粉でアクセントをつけ、塩ラーメンらしい香りと味付けに。
あっさりラーメンはさらにサラサラして、豚骨の香りを感じるものの魚介系の味がかなり目立つ組み立てだ。
全ラーメンに共通しているのは、丁寧に取られたげんこつの良い香りと味がすることだろう。
よく、「20時間煮詰めました」というような、長時間の煮込みを売りにしている豚骨ラーメンの店を見かけるが、それでは豚骨の香りが台無しになる。
料理の基本は適切な加熱時間で味と香りを最大限に引き出し、かつ飛ばしてしまわないことだ。
どんな料理でも長時間煮込めば味も香りもすっ飛ぶに決まっており、豚骨スープを取る時に細心の注意を払うべきは、どれだけ短い時間で最大限の味と香りを煮出すか、ということであろう。
その点こちらの店舗では、げんこつを短時間で上手に煮出したスープ特有の、鼻に抜ける爽やかで特徴的な豚骨の香りを強く感じられた。
臭みもほとんど無く、丁寧に下処理をしている証拠だ。
奈良の豚骨ラーメンの店では、スープの鮮度(適切に煮出してから食べるまでの時間)はおそらくここが一番であろう。
先に上げた名店3つより、豚骨の良い香りと、ベタッとしてるのにサラッと流れる独特の旨さを引き出していると評価できる。
ただし、看板のドとんこつは、その良い香りと味を濃い醤油ダレで上塗りしてしまっている印象だ。
濃い味に仕上げることを意識して、素材の持ち味に踏み込んでしまっているところに少し残念さを感じる。
一方で、塩とんこつはスープとタレの相性がとても良い。お互いが自己主張をしているのに持ち味を殺すようなことをしていない。
それだけに、魚粉は添加しなくても良いかもしれない。そのままで十分旨い。
あっさりラーメンは基本の豚骨をサラサラにして、魚介系、特に魚粉の香りを強くアクセントにしたものだ。
豚骨ラーメンの食べ方として悪くはないが、上手に取れているスープの食べ方としては他の2品と明らかに路線が違う。
文字通り、豚骨ラーメンは食べたいがあっさりが好きだという人向けの味であろう。
豚骨からこってりと出汁を取っているのに、時間が経ってもスープに膜が張ることがない。
スープを上手に乳化させている証拠だ。
泡立っているスープの表面も滑らかで、脂のコクを感じるのに、ガツンとくる脂分のしつこさが感じられないのは、奈良県民が好む、マイルド豚骨の系統といえるだろう。
生駒からは王寺を越えて少し遠方にあるが、車で30分ほどで行ける距離だ。
休みの日のドライブも兼ねて、足を運んでみてはどうだろうか。
【店舗データ】
店名:ド豚骨ラーメン くわせ者
所在地:河合町薬井(くすりい)409
定休日:水曜日
TEL:0745-73-0500
営業時間 :11:30~15:00 18:00~23:00
駐車場:店横15台
子供連れ:OK(歓迎)
Webサイト:-