奈良県民にとっては馴染み深い、大宮通りから見える朱雀門一帯の平城宮跡。
正直、地元に住んでいればこういったベタな観光地にはまず足を運ばないものだが、2018年3月24日、朱雀門や大極殿を中心として一帯がすっかりと、歴史公園としてキレイに再整備された事を機に、足を運んでみようと思われている方もいるかも知れない。
そんなわけで、早速足を運んできた。
なお駐車場だが、オープン直後でも平日であれば場内の無料駐車場が使えたので、直接乗り込んでもおそらく大丈夫だろう。
ただ、さすがに土日祝日は近くのパーク&ライドを利用したほうが良いかも知れない。
またトイレについてだが、極めて清潔なトイレが各建物、到るところに用意されており、これは女性や子供にはとても嬉しい。
場内・館内スタッフもとても多く、豆に掃除をして極めて清潔な状態にメンテナンスされている。
まずはこちら、大宮通りを車で通るたびに嫌でも見える異形の建築物。
復元遣唐使船だ。
平城宮跡歴史公園の目玉的存在で、表側から訪問すると一番に目に飛び込んでくる。
船入り口のところでは、天平装束に身を包んだ若い女性がにこやかに迎えてくれる。
ただ、この訪問した日は3月のオープン直後だったが、夏休み等の炎天下で野外、天平衣装を着て立ち尽くすアルバイトは相当過酷そうである。
なお遣唐使船だが、船自体はよくできているとは思うものの、これと言った見どころのあるものではない。
船そのものには博物館のような展示物や解説スペースはほとんど無く、当時は非常に粗末な船で、日本海を航海したんだな、ということを肌で感じてもらうための設置物と言うことになりそうだ。
こちら、朱雀門広場から朱雀門の方面と、天平うまし館方向を見たものだ。
天平うまし館にはカフェやレストランが中心に入居しており、売店も用意されている。
レストランはここ、天平うまし館に入居している平城宮跡歴史公園公式レストラン tokijiku kitchenが唯一のものだ。
建物は、平城京を意識した色や作りになっており、朱雀門広場を歩いていると、ここは本当に奈良市中心部にほど近い場所なのかと、悠久の時の流れを感じる、非常に不思議な気持ちにさせてくれる。
なお、画像を見ておわかり頂けると思うが、人出は本当に少ない・・・。
これでオープンから3日めである。
人が少ないほうがゆったりと天平時代の雰囲気に浸れるとはいえ、観光地としてはもう少し人出があることを当て込んでいたかも知れない。
朱雀門に立ち、大極殿の方を見通す。
うーむw
やはり、近鉄電車が間抜けである。
10年プロジェクトで、この世界遺産の光景を台無しにする近鉄の線路を移設する計画があるが、本当にそうするべきだろう。
これはこれでシュールな光景だが、さすがに世界中を見ても、1000年以上も昔の遺跡を復元した世界遺産の中を鉄道が走るなんて、日本くらいのものである。
朱雀門から大極殿まで歩いていくのに、途中踏切を渡る必要があるというのもかなりマヌケだ。
朱雀門広場から大極殿まで一気通貫で道路を通すことができれば、相当大掛かりな都大路ができるので、いろいろなイベントが考えられ、さぞ盛り上がることだろう。
こちら、天平いざない館である。
朱雀門広場で、朱雀門を見た時に右手に建設された新しい歴史博物館だ。
真新しいキレイな建物と、手入れが行き届いた入り口がとても清々しい。
この建物は、文字通り天平時代の文化を再現した、天平時代に来館者をいざなう歴史館である。
中はこのように、当時の生活や政治、出土品などを展示する大掛かりなスペースがとても多く用意されている。
画像はほんの一部だが、天平時代の文化に触れるためのあらゆる展示物が用意されており、これが無料というのは中々のはからいだ。
京都にも、この種の公的な、「平安文化館」のような施設はないので、そういった意味では、ここは奈良観光の目玉になるだろう。
ざっと見た所、周りには日本人しか居なかったが、むしろ日本を訪れる外国人の人に、日本の国の興りであり、文化の生まれ故郷である飛鳥時代から天平文化に繋がるこれら展示物を見学してもらいたい思いだ。
少なくとも、海外旅行に行った時に興味を持った国の「原点」を見学できる無料の施設があれば、決して少なくない人が足を運ぶように思われる。
なお、お土産どころは他にもあるのだが、天平いざない館はこちでも単独に、展示物にふさわしいちょっとした売店が用意されており、買い物を楽しむことができる。
こちらは、天平うまし館に設置されているお土産どころだ。
天平うまし館は駐車場やバス発着場にほど近いために、ここに固めて設置されているのだろう。
売っているのは主に奈良県の地のものや地酒、奈良の特産品などだ。
奈良公園に軒を連ねるお土産屋さんのように、木刀やキーホルダー、日の丸のハチマキに和傘のようなものは一切おいていない。
それはそれで実直なお土産屋であると思うが、遊び心が感じられないのは、ここが公的施設だからだろうか。
こちら、バス発着場の近くから復元遣唐使船を見通せる歩道から撮影したものだ。
歩道沿いには植林を終えたばかりの若木が無数に並び、この施設がまだまだ建設途上であることを物語っている。
後10年もすれば、植林された木が育ち、運営もこなれてきてより素晴らしい施設になるのかも知れない。
今の所、お土産屋さんに遊び心がなく、欲しいと思えるアイテムがほとんど無かったのが残念なところか。
無難な銘菓や地酒はわからないでもないが、道の駅のように、もっと奈良県産の地元の人が日常でも使っている良いもの、郷土が誇れるものを販売するべきではないだろうか。
加えて、レストランに選択肢がないのも残念だ。
2~3の選択肢を用意し、食べたい気分に合わせた複数の店舗がないと、集客に繋がらないのは間違いないだろう。
とはいえまだ、施設は始まったばかりだ。
奈良市の中心部近くに居ながらにして、悠久の天平ロマンを感じられる仕組み自体はとても素晴らしく、観光客はもちろん、地元民でも一度足を運ぶ価値があるのではないだろうか。
【施設データ】
名称:国営平城宮跡歴史公園
料金:入場・一部駐車場無料
営業時間:9:00~16:30他(施設により異なる)
定休日:無し
所在地:奈良市二条大路南4丁目1
駐車場:有り一部無料
電話番号:0742-36-8780
目安所要時間:20分
Web:歴史公園公式サイト
※所要時間の目安は生駒駅起点で普通乗用車を使った際の最短時間