ミシュランガイド2017特別版に掲載されたラーメン店、麺人ばろむ庵(めんじんバロム庵)。
ふじ門製麺やあまのじゃく奈良駅前店、ラーメン春友流、ドン・チードルなどの店舗に近く、奈良公園ラーメン観光客需要の一角を担っている。
オープン当初には無かったまぜそばや、大和ブラックなどの新機軸も取り入れ、お勧めメニューがいろいろ増えてきた。
正直、オープン当初にはミシュラン調査員のお勧め店になるとは予想もしていなかった。
生駒のトリカヂイッパイのように、進化し続けながら味を磨いているのだと思うと、ワクワクしながら久しぶりの再訪だ。
なお駐車場は店の北西側に30分200円のコインパークがあるものの、満車のことが多い。
店舗となりには生涯学習センターがあるが、こちらは利用者以外の駐車は厳禁なので、北西側が満車なら道一本北側のコインパーキングを利用して欲しい。
お店は食券制で、入り口右側にある。
人が並んでいる時などは券売機の前で悩むのが苦手な人も多いかもしれないので、訪問前には予めおすすめメニューを把握してから行くようにしよう。
大きくは新中華そば、大和ブラック、まぜそばの3つから選び、トッピングを決めサイドメニューを選ぶ構成になっている。
L字型のカウンター席は11席。
テーブル席はなく、荷物置き場は専用の容器を用意してくれる。
オープンから6年になるが、店内は清潔に維持されており気持ちが良い。
清掃には相当力を入れているのだろう。
店内には製麺所が併設されており、ここで全粒粉のモチモチ麺を自家製で仕込んでいる。
こちらの清潔さも相当なものだ。
6年間、過酷に使い込んできたであろうステンレスにはくすみも見られない。
まぜそばと大和ブラックはお店からの食べ方リクエストがある。
今回まぜそばは頂かなかったが、大和ブラックは確かに、飛び散ったらエライことになりそうなスープである。
上が新中華そばで下が大和ブラック(混ぜる前)だ。
麺はどちらももちもちの全粒粉麺で違いはない。つるつるした食感が心地よい。
チャーシューは油の多いバラ肉をレア感を残しつつ火を通す、真空調理のような技法で作ったと思われる食感。
メンマに野菜もどちらも共通だ。
スープは、新中華の方はモミジをたっぷり使っている贅沢感のある味。
コッテリした脂と鳥の旨みがストレートに伝わる味だ。
それに、魚介系の出汁が加わっていることはわかるのだが、肝心の素材がわからない。
魚の旨味が強いので、頂いている時は煮干しなのではないかと思ったが、ネットでカンニングをさせてもらったら鯛出汁を使っている、という記事を発見した。
なるほど、納得の旨味の強さだ。
味は全体に、麺屋NOROMA(のろま)のスープに良く似ている。
リスペクトしたのかと勘違いしたが、お店のオープンはこちらの方が1年以上も早いのでノロマがこちらに似ていると言うべきだろう。
ノロマとの違いは魚介系の味が立っていることと、いい意味で「バランスを崩している」ことだろうか。
例えて言えば、積み木を高く積み上げる時、積み木同士をまっすぐ積み上げたらすぐに倒れる。
敢えて少しづつずらしながら、うねるように積んでいくのが積み木を高く積むコツだが、このスープも口に含んだ瞬間、なんとも言えないアンバランスさを感じて、その理由を探ろうとより強く旨味を感じようとしてしまう。
旨味をストレートに積まずにバランスを崩しながら積み上げ、全体として高い完成形を作り上げる興味深い構成だ。
大和ブラックの方もスープの構成は同じだと思われるが、辛味油とにんにくの香りが効いており、やはり旨味より辛味が先に立ってくる。
よく混ぜて食べてくださいと書いてあるのに、ほとんど混ぜずに辛味油の部分をレンゲですくい、ダイレクトに飲み干してしまった時はかなりキツかったがこれは自分がバカなだけである。お店のせいではない。
辛味の底流には明確に鳥の旨みが潜んでいるのだが、丁寧に煮出した鳥の旨みをダイレクトに味わいたいならやはり、新中華そばを素直に注文した方がいいだろう。
少し汗をかきたい時やにんにくで元気を出したい時には大和ブラックも楽しめそうだ。
オープン直後に訪問した際にはほとんど記憶に残ることがなかったラーメンだったが、今回の再訪では強く印象に残る後味だった。
モミジなどの鳥の旨みをベースに他の出汁をどのようにアレンジして組み立て、タレで独自の方向性を作っていくのか。
今後も新しい味の開発に挑戦し続けて欲しい。
【店舗データ】
店名:麺人ばろむ庵
所在地:奈良市杉ヶ町27
定休日:月曜日
TEL:-
営業時間 :10:30~14:30
駐車場:無し
子供連れ:OK
Webサイト:ふたりがひとり ばろむ庵