柏木町のパワーシティにあるラーメン店、どうとんぼり神座。
かつては平日ランチ時を外しても、この画面の雨よけがあるところまで長蛇の列が伸びていた奈良を代表する人気店だったが、すっかり人がいなくなってから長い。
個性的で魅力的なラーメン店が奈良に溢れた今、かつての勢いを完全に失った。GW真っ只中のランチ時にも関わらずこの状況だ。
お店の名前、どうとんぼり神座という名前が示すように1号店は道頓堀でスタートした店だが、本社は奈良の広陵町にある。
2号店も香芝で、奈良でもレアな場所に建てられたラーメン店なので、おそらく奈良出身で土地勘のある社長なのだろうか。
10年近くは訪問してなかったが、久しぶりに足を運んでみた。
メニュー構成は昔と変わっていないが、鶏塩ラーメンという、昔にはなかったメニューが加わっている。
店内も明らかに昔と違う。大規模に改装したようだ。カウンター席が多くなり、テーブル席が相当減っている。
家族連れではなく1~2人で食べに来る客層に入れ替わっているということだろう。
店内を見ると確かに、カウンター席で食べる1~2人組のお客さんが多く居るように見える。
ホテルシェフ出身の社長が設計する店内は、たくさんの人を効率よくさばくために無駄がない導線でつくられている事がよく分かるのだが、そのことがどこか冷たさを感じさせる印象は以前のままだ。
看板メニューの、おいしいラーメン小チャーシュー煮玉子トッピングと鶏塩ラーメンだ。
鶏がら、肉ミンチなどで旨味を採っていることまでは容易に想像がつく味だが、大量の白菜の甘味に醤油味が加わり、どこか、薄めたすき焼きを思わせる構成になっている。
昔と大きくは変わっていないが、トッピングされている白菜の量がかなり少なくなった印象だ。
鶏塩ラーメンのほうは、大量のゆずと白髪ネギがのっている。
ゆずの風味が強すぎて、アクセント以上になってしまっているのが少し残念だ。
麺が見えないほどの大量の白髪ネギをのせているにも関わらずスープの味が薄くなっていない下ごしらえは見事だが、ここまで白髪ネギが多いとちょっと厳しいか。
東京歌舞伎町にも進出し、ラーメンのチェーン店としては日本屈指の有名店になった神座だったが、あれほど人気店だったお店に人がいなくなったのは、他に美味しい店がたくさんできたことだけが理由ではないだろう。
各地のイオンフードコートに神座が入っているが、イオンのフードコートで食べるラーメンという出店は明らかにブランドを落としたのではないだろうか。
スガキヤのように、普通のラーメンの半額以下で提供されるブランドであれば、アピタのフードコートに入っていてもおかしく無いし、そもそもたまに無性に食べたくなる謎の中毒性がある。
一方で神座は、店舗で丁寧に作られる「おいしいラーメン」を、行列に並んで食べていたラーメンだ。
フードコートで食べるラーメンというポジションを取ってしまったのは、自ら「そういうもん」に身を置きに行き、結果としてブランドが落ちて人が来なくなったというのが現状ではないだろうか。
【店舗データ】
店名:神座 奈良柏木店
所在地:奈良市柏木町459
定休日:無し
TEL:0742-30-0880
営業時間 :11:00~25:00
駐車場:十分あり(パワーシティ共用)
子供連れ:OK
Webサイト:http://kamukura.co.jp/