東生駒・菜畑地区にある「魚の台所 和樂(和楽)」。
以前ここには「旬菜や」という釜飯の店があったが、2016年8月頃に潰れてしまった。
その後、潰れた店舗を今の形に改装し翌9月にオープンしたお店なので比較的新しいお店だ。
海のない奈良で美味しい魚を食べられる店、というコンセプトで、鮮魚が売りのお店ということになっている。
「旬菜や」の看板の掛け替えかと思ったが、そういうわけではなく、「以前のお店とは一切関係ない」とのことだった。
それにしても、新しいお店ができるとすぐにブログなどでお店の情報が広がる事が多いが、こちらのお店は検索しても記事が全くヒットしない(2017年4月現在)。
それどころか、食べログにすら口コミが1件も無く、「和楽 東生駒」で検索しても近くの「四季美遊」の食べログが出て来る始末である。
開店から半年以上になるのにほとんどお客さんが来ないのかあるいは生駒らしくやはり居酒屋は流行らないのかと、恐る恐るの初訪問だ。
訪問したのは金曜日だったが、4つあるテーブル席は全て満席で、カウンターにもお客さんがいる大盛況。
付き出しは大山地鶏の炊きもので、手間をかけた一品。
ビールはハートランドしか置いていないという少し変わり種。
ハートランドは軽い風合いのビールなので、和食ともよく合う。
価格帯は生駒の中では平均的~やや高めといった所だが、品揃えはかなり凄い。
単純に値段だけを見ると高いと感じるかもしれないが、この価格で食べられるのが驚く食材もあり、期待値が上がる。
活きサバやアラ(=クエ)の薄造りなど、さすがに魚を売りにしているだけあって、他では食べられないメニューが並んでいる。
羽釜で炊いた銀シャリというのも、なかなか魅力的だ。
マグロのカマなどを仕入れているところも好感度が高い。
メニューを見る限り、半年間誰もレポートをしていないような、魅力の無いお店とはとても思えない。
それにしてもドンペリ22,000円を置いている生駒の居酒屋は、おそらくここだけであろう。
なかなかアグレッシブな店主さんだ。
※後日再訪した時には、ふぐの白子980円まで置いていた。
生駒でそんな食材をそんな値段で食べられるのは、このお店くらいだろう。
本当に美味かった。
刺身の盛り合わせ4人前と、下は追加で頼んだ1人前。
切り身が分厚くてデカイ。凄いボリューム感だ。
これで1800円(4人前)は相当お得感がある。
盛り込まれる刺し身はお任せもできるが、その日お店にあるネタを聞いた上で好みのものを盛り付けてくれることもできるのが嬉しい。
サバは酢で締めていない、活きの生サバだ。
生サバ自体なかなか居酒屋で見ることがないが、生駒で食べられるとは思わなかったので嬉しい誤算だ。
マグロもスーパーに並ぶバチマグロやキハダマグロではない本マグロで、中トロの部分を分厚く切って盛り込んできた。
さすがに、魚の台所を看板にするだけあって魅力的な一皿だ。
山形牛のタタキにこのお店の人気No.2という鶏肉の一夜干しだ。
山形牛はおそらく乙姫和牛だと思うが、近鉄生駒店では100g1000円~で売ってる高級和牛だ。
いい素材を選んで調理していることが窺える。
鶏肉の一夜干しは干し物独特の香りと熟成があり珍味に近い味だ。
他で食べることができない味で、これもまた面白い。
ガーリックトーストに、富山湾名物の白エビの唐揚げ。
白えびは北陸旅行に行った時にはぜひ食べたい日本海の名物だが、生駒で食べられるとは思わなかった。
現地ではお刺身で食べると美味しいが、さすがにそこまで期待するのは難しいというものか。
ウイスキーのアテに、どちらも美味しく頂ける。
しらす丼につくねハンバーグ、海鮮丼だ。
海鮮丼に乗っているのは活きサバに中トロ、タイを焼き霜にしたものと生のタイ、それにイクラだ。
もちろんサバは締めていない生サバ。
これだけ豪華な海鮮丼で880円は嬉しい。
羽釜で炊く銀シャリ炊きたて。
カニ穴がしっかりできており、見ただけで美味しいとわかる銀シャリはお酒の締めに嬉しい。
お米を愛している店主なのだろう、自信たっぷりで見せてくれた。
なお卵の色が赤く見えるのは器の底の色だ。
昭和の頃によくあった、血が混じっている卵というわけではない。
それにしても、この器の色は、昭和の頃によくあった血の卵を思い出させるので色は変えたほうが良いかもしれない。
ちなみにこのTKG(たまごかけごはん)セットはお店の4番人気だそうだ。
ご飯が美味いと、こういう当たり前のものでも美味しい。そしてそれが嬉しい。
お店にはボトルキープのスペースもある。
開店して半年だが、かなり常連さんがいるようだ。
なぜこれほどブログ記事などが書かれず、食べログにすら口コミが1件もないのか不思議な気もするが、客層はやや高めだったために、あるいはブログに記事をアップするような年代のお客さんがほとんどいないのかもしれない。
ところで、以前ここにあった「旬菜や」の店主は現在、「全日本個人飲食店集客塾(株)」という事業を展開しているようだ。
旬彩やを経営している時からサイドビジネスとして飲食の集客セミナーを開いていたようだが、そのこともあって旬菜やには行く気になれず、このお店も看板の掛け替えかと思い、来店する気にならなかったのだが、来てよかった。
集客セミナー自体が悪いとは言わないが、そのようなサイドビジネスをしている料理人が作るものは食べたいと思わないし、イメージも良いと思わない。
あるいはその頃のイメージがあって足が向かない人がいれば、以前の店主・店舗とは無関係とのことだったので、安心して出かけてみて欲しい。
頭にバンダナを巻いた、笑顔がかわいいおじさん店主が気持ち良い接客で迎えてくれることだろう。
【店舗データ】
店名:魚の台所 和樂
所在地:生駒市東菜畑1丁目310-3
定休日:水曜日・第2火曜日
TEL:0743-73-1288
営業時間 :17:00~23:30
駐車場:店前に3台
子供連れ:OK(歓迎)
Webサイト:http://sakana-waraku.com/