生駒市の方から暗峠に向かい車を走らせると、暗峠の1kmほど手前という秘境めいたところに手打ちうどんの名店がある。
風舞(かざまい)だ。
画像の奥が暗峠側であり、山に向かって左側に駐車場がある。
5台は駐められそうなスペースがあるので、車で訪問する分には何の問題もない。
なお、某大手グルメサイトでは訪問者が、道中を
「かなり急でかなり細い道です」
と脅かしているが、ぶっちゃけ全く大したことない。
対向車が来て離合できないような区間はほとんど無く、またあっても見通しがきき距離も短いので、大きめの車で出かけても大して心配ないだろう。
ぶっちゃけ、大和郡山駅付近の路地のほうが100倍無理ゲーである。
なお営業日だが、公式Webサイトらしき所には「月曜定休」と書いているが、こちらもウソである。
嘘というよりも、オープン当初はそうだったようだが、2018年4月現在は水、土、日の週3日間だけの営業だ。
また営業時間も、平日11時~18時、土日祝11時~19時となっているが、全日11:00~15:00である。
さらにうどんが売り切れ次第閉店だが、訪問日は13:40くらいに訪問して、私達で売り切れ閉店であった。
暗峠を行き来するハイキング客に人気のお店なので、遅くとも13:00くらいには訪問したほうが無難だ。
見た目は完全に古民家だが、実際にこの建物、築110年を越えるかなりの古民家である。
平成17年に古民家を改装してオープンしたが、周囲には水車や井戸があり、100年前の暮らしが窺える。
店の中には脱穀機も残されており、かなりの雰囲気だ。
経営されているのは少し年長のご夫婦だが、とてもお元気で声にもハリがあり、接客も気持ちが良い。
部屋の随所には、話し口と受話器が別れているレトロというレベルではない電話機もあり、また額縁も相当な年代物だ。
おそらく元の住民が使っていたものだと思うが、部屋の持つ全ての雰囲気が、まるで昭和の頃に祖父母の家に遊びに来たときのことを思い出させる。
2010年には読売テレビのテンが取材に来たようで、色紙も飾られてあった。
こちらがメニューだ。
御飯のセットなどは無く、別にオニギリとかやくご飯が150円で注文できる。
山奥のお店で少し値段が高いかと思いきや、生駒の標準的な価格での提供だ。
なお、うどん屋にありがちな海老天ぷらうどんはない。
揚げ物はかき揚げと山菜のうどんだけだ。
生駒の畑で取れた野菜を中心に提供しているが、このあたりも田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに来たという雰囲気で癒やされる。
こちら、上から鶏なんば1000円、冷やしかけうどんかき揚げ乗せ850円、いのししカレーうどんの大盛り1100円である。
基本的な出汁のとり方だが、ウルメイワシ、煮干し、メジカ(目近)、昆布などで丁寧に抽出したものだ。
もちろん化学調味料などひとつまみも使わない。
(化学調味料に頼ると、おじいちゃんおばあちゃんのイメージが壊れてしまうではないか・・・。)
なおメジカとは、関西以外で言う宗田鰹節(ソーダ節)のことだ。
関西では今も、年配の人はソーダ節をメジカという事が多い。
小麦粉も全て、香川から讃岐うどんに適したものを取り寄せるという本格派である。
肝心の味だが、鶏なんばからだ。
ダシはやや薄口に仕上げているものの、その分とても繊細で丁寧に取られた出汁の旨味を味わうことができる。
うどんは中太で、温かいうどんなのにコシがしっかり残っており、とても美味しく頂ける。
自慢の地鶏もも肉も旨味が詰まっており、量も300gとたっぷりだ。
1000円という値段だけを見るとやや割高に思われるかも知れないが、地鶏のもも肉を300gも入れれば、相当なコストである。
チェーン店ではまず頂けない逸品だ。
冷やしかけうどんかき揚げ乗せだが、こちらは一転、旨味がガツンと舌に乗ってくる。
温かいうどんの上品でおしとやかな味に比べると、こちらは上品だがスカートの端を持って走り回るたくましい女性のイメージだ。
かき揚げにはきくらげ、紅生姜、おくら、かぼちゃ、舞茸などなどがまとめられており、野菜の盛り合わせ感が凄い。
またどの野菜も美味しく、衣はサクサクでかぼちゃはトロリと解け、とても美味しい。
野菜のかき揚げでこれだけ満足したのは初めてである。
讃岐風のコシのあるうどんは、冷では時にコシが強すぎることがあるが、うどんの太さがほんの僅かに、讃岐うどんよりも細めに打たれているため、ふわふわ感とモチモチ感を両方楽しめるいい塩梅だ。
イノシシカレーうどんだが、こちらは正直、カレーの味である。
ダシが繊細で上品なため、カレーに全て上書きされており、カレーの味しかしない。
イノシシ肉だが、意外なほどにほろほろと柔らかく、旨味が濃く、豚と牛の間のような味わいだ。
イノシシといえば臭みが強い豚肉のような味がするものだが、こちらのお店では一切の臭みがない、旨味の濃いものを使っているようだ。
この美味しさをストレートで味わうには、カレーではなく、いのししうどん1300円で楽しんだほうが良いかも知れない。
総じて、オープンから13年間続くお店であることが納得のとてもレベルの高い良いお店だった。
正直、脱サラで素人が始めたお店かと思っていたが、とんでもないことで、味は本物でこのうどんを頂くために、生駒の山まで来る価値があるお店である。
水土日の昼間しかやっていないというハードルはあるが、ぜひ一度、訪問をしてみてはどうだろうか。
なお繰り返しになるが、売り切れが早いので、出かける前には電話して予約をしたほうが無難であり、注意して欲しい。
【店舗データ】
店名:手打ちうどん風舞
所在地:生駒市西畑町487-1
定休日:月火木金曜日
TEL:0743-77-8060
営業時間 :11:00~15:00(本文参照)
駐車場:店前5台(本文参照)
子供連れ:OK
Webサイト:公式らしきWebサイト
※公式らしきサイトに記載の情報は全て古く、更新されていないので注意。